貫井徳郎「乱反射」
貫井徳郎「乱反射」
去年ドラマ化されて、断片的に見てしまい気になってので小説を手に取ったけど、これは…ドラマは見ずに先に小説を読みたかった…
これから読む人はいっそ、あらすじすらも知らずに読んだ方が楽しめると思う。
あらすじ
ある2歳の男の子が亡くなってしまった。
それは街路樹が倒れた事による事故だった。
一見ただの事故のようではあるが…
うーん、ネタバレなしだとこれしか書けない気がする。
ちなみにラストはドラマと小説で違ってた。個人的には小説のラストの方が好きかな。
以下、ネタバレあり。
街路樹が倒れた事は一見ただの事故のように見えるが、実は様々な人の些細なモラル違反が複雑に重なった結果、起こった事故だった。
そしてその人々は、自分たちがした事に対し、罪の意識なぞない。
腰痛があるからと飼い犬の糞を放置する老人。
つまらないプライドで、街路樹の糞の清掃をしなかった公務員。
街路樹に糞があったせいで樹木の診断ができなかった潔癖症の造園業者。
ただの風邪でも常習的に夜間救急を受診する大学生。
家族の選んだ車の車庫入れが難しいからと車を路上に放置する若者。
自己満足のために樹木伐採の反対運動をする主婦。
専門外でバイトだからと、救急受け入れを拒否した医師。
幼児が居るのに、嫁に頻繁な見舞いを要求する義母。
パッと思い出すだけでこんなに沢山の人が不幸な事故に関わっている。
そして2歳の息子を亡くした両親も、家庭ゴミをSAに捨てるというモラル違反をしていた。
面白かったけど、記憶を消してもう一度読みたい小説。