ほんたねの雑記ブログ

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映画「誰も知らない」の感想

映画「誰も知らない」2004年)

 

監督:是枝裕和

出演:柳楽優弥北浦愛・木村飛影・清水萌々子YOU

 

この前、柳楽くんがテレビに出てるのを見て、ふっと気になった映画。だーいぶ前に見た気がするけど、あんまり覚えてなかったからちょうど良いと思い見てみた。

 

 

☆あらすじ(ネタバレあり)

 

秋頃

アパートの一室に越してきた母と息子の明。引越し業者が荷物を搬入し終わって、部屋に2人だけになった母と明は2つの大きなスーツケースを開ける。スーツケースには明の弟(茂)と妹(ゆき)「中は暑かった~」そして明は町でもう1人の妹(京子)と落ち合い、近所の人に見つからないようにアパートに向かう。

アパートに住んでいるのは母と明だけと大家さんには説明し、あとの京子・茂・ゆきには「家から出ない、ベランダも」「大きな声を出さない」と言いつけ、母は仕事に行く。「家から出ない」と言う事は勿論、4兄弟は学校にも行かず、明だけが外出(と言っても買い物くらい)し、残りの3人はずっと家の中での生活。

最初は遅くても帰ってきてた母がしばらく家を空けるように。

 

1112月頃

母が久しぶりに帰ってきたと思ったら、冬物をごっそり持ち出して「クリスマスには帰ってくる」と言ってまたすぐ出て行った。しかしクリスマスになっても母は帰らず

 

23月頃

母は不在のまま、なんとか暮らしていたが、やがて明は同世代の男の子たちと遊ぶようになる。あまり素行は良くなさそう(というか万引きまでしてた)だけど、明にとってはこれまでなかった友達ができたようなもの。嬉しくなるものの、彼らからしたら、ゲームが出来るたまり場を提供してくれる奴を見つけただけだった。

 

4

つるんでいた彼らは中学生に。買ったばかりで大きい制服や靴に身を包んだ彼らとくたびれたTシャツを着てる明。付き合いもなくなっていった。

仕送りも底をつき、家賃どころか、光熱費が払えなくなる明。

家計簿をつけてやりくりしても流石に無理がある。ある日電気は止められ、やがて水も使えなくなる。洗濯は公園で済ませ、トイレも極力公園。食べ物はよくいくコンビニの廃棄をこっそり貰う。いつも会う店員からは、然るべき所に相談するよう勧められるが、「兄弟がバラバラになるから」と公的機関に頼る事を拒む明。

 

夏頃

家の中もかなり荒むようになって、ゴミがあふれた状態になっている。兄弟の中にも亀裂が入り口論も増え、そんな中ゆきが転落して動かなくなってしまう。

母の所に公衆電話から連絡を取ろうとして一度は繋がるも、硬貨がつきて連絡できず、病院にも行けないまま、ゆきは亡くなってしまう。

ゆきの遺体をスーツケースに入れ、飛行機が見える場所まで行き埋める。 そして残された3兄弟はまたこれまで通りの生活をしていく。

本当に「誰も知らない」生活を送る兄弟。

 

 

☆感想

 

明たちは外にも出て、誰かの目には入っているのに、誰にも知られずこの生活を続けていっている事に胸が苦しくなる。

4兄弟について詳細は不明だけど、とりあえずそれぞれの父親は違うらしい。そして学校に行ってないって事は戸籍がないって事なのかな?

戸籍がない、出生届が出されてないなんて、想像するだけで恐ろしい。

 

意外だったのが、YOU演じる母の子への接し方。こういう母親だと、子供への当たりがキツかったり、普段から怒鳴ってたり、しばしば手をあげたりとかしてそうなのに、当たりは柔らかくて子供にフランク。友達親子、みたいな。まぁ後々家に帰らなくなってくるけど。

 

YOUもだけど、子供たちが良い演技してる。柳楽くんは勿論兄弟みんな、とても自然な感じ。そしてBGMも殆どなくて、ドキュメンタリーを見てるよう。

脇役で出てる、父親役の遠藤憲一、少年野球の監督の寺島進が若くてかっこいい。いや、勿論今のお二人も好きだけど。

 

 

実際のモチーフとなった事件とは違う結末になったけど、とにかく胸が締め付けられる映画。だんだん生活が荒れていく様を見ているともう。見てて辛いけど、良い映画だ。見て良かった。

是枝監督の映画はあまり見る機会がなかったけど、他の作品も見てみようかな