木内一裕「水の中の犬」
木内一裕「水の中の犬」
なんでルビが「みづのなかのいぬ」なんだろ…
アウト&アウトの前日譚という事で読んでみた。
ハードボイルド!痛々しい描写も多いので、苦手な人もいるかも。
物語は、主人公の探偵(最後まで名前なし。周りからも「おい探偵」と呼ばれてる)が女性から依頼を受ける3話から成る。短編集ではなく、繋がってます。
以下ネタバレも含む。
第1話 取るに足りない事件
ホステスの田島純子より、山本浩一の弟である山本克也を殺害を依頼される。浩一は妻帯者者だが、純子と一緒になるべく動いていだ。しかしそんな中、克也にレイプ・恐喝されて…
実は浩一は妻と別れる気はなかった。別居しているのではなく、妻が妊娠中で里帰りしているだけだった。自ら別れを切り出すのも嫌だったから弟に工作を頼んだと。
純子は克也を殺そうとしたが、探偵が純子を人殺しにしたくないが故に、探偵が仕留める。しかし、全てを知った純子は浩一の居場所を突き止めるよう探偵に依頼し…
第2話 死ぬ迄にやっておくべき二つの事
浩一の死を知った妻はショックで流産しかけた。なんとか流産せずに産まれたものの、22時間しか生きる事は出来なかった。
浩一の父であり、自分はもう孫を望めないと分かった笹川健三(菱口組の組長)は探偵を孫と同じ22時間後に処刑する事を宣告。
笹健親分の個人的興味から、部下の矢能に探偵の残り時間を見届けるよう指示する。
そして2話では吉野深雪に兄・洋一探しを依頼される。そしてそこに誘拐事件が絡んできて…
第3話 ヨハネスからの手紙
2話での誘拐事件に関わり、探偵は8年前の事件の記憶を取り戻しつつあった。8年前、PTSDとなった探偵は精神科医によって記憶を書き換えられていたのだった。
3話では黒木柚子から、娘・栞の命が狙うという手紙を書いたヨハネスについての依頼を受ける。
ヨハネスは歳川だと思われ探すが、そこで川久保軍事、ディーボと関わっていく事になり…
感想
ハードボイルドだし、かなり危ない人ばっかり出てくる。ノワールものが好きな人も合うかも。
そして、探偵の行動も3話を読むと腑に落ちます。
この作品だけで終わっても問題はないけど、矢能と栞のその後がやはり気になるので、続編を書いてもらえてよかった。
ただ、個人的に気になったのが、アウト&アウトを先に見ちゃったから、矢能のキャラにちょっと違和感を覚えた。こんなに喋るし、こんな喋り方なんだなーと。期間的には水の中の犬~アウト&アウトで1年も経っていないけど、アウト&アウトでは矢能がかなりどっしりした感じになってるというか。
できる事なら、「アウト&アウト」よりこちらを先に読みたかった。どうしても探偵と矢能と栞の結末を知ってしまっているから、知らずにいた方がより楽しめただろうし。これから矢能シリーズを読もうと思っている人は是非この「水の中の犬」から読んでほしい。